平 成 13 年 6 月 議 会

県議会文教委員会に就任

1.完全学校週5日制について

新学習指導要領に「「ゆとり」を確保する」とあるが、学習内容大幅削減と授業時数の縮減と引き換えに、子供たちはその「ゆとり」を週2日の休みで確保できるのか。「学ぶことの楽しさや成就感を味わうことができるようにする」とあるが、それも大切ならば、学ぶことの厳しさを味わうことも大切ではないのか。考える、挑戦していく勉強の姿勢も尊重されるべきではないのか。大学入試制度や学歴偏重社会の仕組みが変わらない中、子供も保護者も当然進学を重視して、増えた休日をはじめ、さらに塾通いが増加して、公立、私立の格差が大きくなるのではないか。新しい制度が始まるからには家庭教育に大きなウェイトをおく必要がある。保護者は子供たちと同じ目線で、できるだけ対話し、隣近所から始まって地域の中での遊び、ボランティア活動などに子供たちと一緒になって、地域の皆さんに親子共々かわいがってもらえるよう頑張っていく必要があろう。私を含めた今の保護者世代は、親から、自分の味わってきた苦労をさせられないで、何でも与えられ育ってきた人たちが少なくないと思う。そんな親が育てた子供は善悪についての意識が希薄となり、凶悪な犯罪を生み出しているのではないか。また、子供たちを甘やかしすぎて、肝心なところで子供とじかにふれあいをしていない保護者が多くなっている。そうした保護者を教育していく場が一番必要ではないか。

(質問1)完全学校週5日制実施についての所見は?

(教育長答弁)
この制度は子供たちの望ましい人間形成を図ることを基本的なねらいとし、学校、家庭、地域社会が一体となって、それぞれの教育機能を十分に発揮する中で、豊かな人間性や、自ら学び自ら考える力などの育成を目指すものである。この目指す方向は、基礎・基本の確実な定着の上にたった、より質の高い学力を身につけさせるものである。また、「総合的な学習の時間」などで、子供たちがふるさと和歌山の豊かな自然や文化・歴史などに直接触れる中で、地域とのかかわりに関心を持ち、主体的に学ぼうとする力の育成に重点をおいた指導を行っている。

(質問2)保護者に対する家庭教育支援について

(教育長答弁)
本県では、市町村と連携・協力しながら、親子で参加できる各種体験活動について情報提供を行うとともに、そんな活動の場の提供にも努めている。他方、人間としての基礎・基本を培う重要な場である家庭については、近年その教育力の低下が指摘されているので、講演会の開催、子育てに関するネットワ−クづくりなどとともに24時間電話相談やカウンセリングなど、相談体制の整備に努めている。

(質問3)地域のかかわりと学校施設開放のあり方について

(教育長答弁)
地域に開かれた学校づくりを進める中、学校の安全管理体制の確立を改めて徹底するとともに、家庭、地域、さらに関係機関との連携を一層緊密にして、平素はもちろん学校施設を開放している場合も、児童生徒の安全の確保を図ることが、何よりも優先されなければならないと考える。

2・廃棄物処理について

これまで産業廃棄物を埋め立ててきた沿岸部は、ほとんど埋め立てが難しくなっているため、不法投棄もかなり目立って増えている状況である。廃棄物を処理しないで埋め立て、投棄することも、焼却処理をすることも、過去から大量に行われてきた方法が、抜本的に見直されるべき社会的課題となっている。超高温燃焼の24時間運転のガス化溶融炉を活用した廃棄物処理施設が多方面で稼動をはじめており、温熱を利用して産業、福祉等、さまざまなメリットも生み出せるのではないか。他府県に取り残されないよう、「廃棄物は汚いものというより、むしろありがたい資源である」といった発想で、環境、リサイクル事業の全県的構築を、全庁的に取り組んでいただきたい。

(質問1)エコタウン事業の本県についての具体的な取り組みと廃棄物処理におけるガス化溶融炉の利用について

(環境生活部長答弁)
エコタウン事業については、和歌山市で検討されており、県としても協力してまいりたい。県では、現在、廃棄物処理計画の策定に取り組んでいるところであり、ご提案のガス化溶融炉については、公共関与による施設整備等を検討する中で、処理方法の1つとして検討してまいりたい。

(質問2)一般廃棄物処理について

(環境生活部長答弁)
一般廃棄物については、基本的には各市町村が策定する一般廃棄物処理計画に基づき、その市町村内で処理すべきものであるが、大型店舗の新規出店など事業活動に伴い多量の廃棄物を排出する場合は、事前に事業者と市町村で協議を行い、その中で、市町村の処理能力を超えるときは、事業者自らの責任において処理することとしている。県としては、焼却炉の改修など個別市町村で対応できない特別な事情が生じた場合に備えて、各施設間の相互協力を図るよう、ゴミ処理施設管理者で構成する連絡協議会などを通じて指導している。

(質問3)環境、リサイクル事業についての所見は?

(知事答弁)
本県の貴重な自然環境を次世代に残していくためには、資源循環型の社会システムの構築が不可欠である。県としても、ISO14001の認証を取得したのをはじめ、有機性廃棄物を資源として、土づくり等に活用するための有機性資源リサイクルや、建設リサイクル法による建設副産物の有効利用推進、また、繊維廃棄物リサイクル等の研究推進など、農林水産部、土木部、商工労働部と環境生活部が連携して全庁的な取り組みを行っている。限りある資源を有効に利用すると同時に、新たな環境リサイクル事業が様々な分野で芽生えて、資源循環型の社会システムができるよう、一層の取り組みを進めてまいる。


3.和歌山県の医療について

(質問1)心肺蘇生の普及について
 
最近日本においても心臓疾患が増加傾向にある。心臓病で心臓が急に止まって救命救急センタ−に運ばれた患者のうち、蘇生されて無事退院できる人は、日本では100人のうち2、3人しかないが、きちんと処置がなされていれば、死なないで済む患者が100人のうち2、30人にもなるそうである。その処置の第一が心肺蘇生である。わが国では、住民や家族による心肺蘇生法施行率は平成9年で16.9%のみの状況だが、欧米では心肺蘇生法は医師の知識というより、人間としての常識あるいはマナ−といった認識である。和歌山県でも心肺蘇生の県民への普及に積極的に努めてほしいがどうか。
(知事答弁)
ご指摘のとおり、医療機関の医師や医療従事者、消防機関が一体となって県民への普及に努めることは重要なことである。県としても、引き続き普及啓発の充実に努めていく。

(質問2)病院の経営について
 
多くの民間病院が同じ土俵で病院を経営していくためにも、将来的に医大病院、五陵病院等も独立採算を考えていく時期にきているのではないか。また、入浴設備のある病院では患者の入浴をはじめとして水道代が銭湯並みにかかり、1月あたり、1人につき1万円以上の費用がかかることがあるようだ。銭湯には水道代の特別措置があって半分以下の料金になると聞いているが、大量の水を使用する病院にも特別措置があってもよいのではないか。
(総務部長、福祉保健部長答弁)
医大病院は他の病院と異なった性格を有しており、教育研究開発は医療費では負担できないといった面もある。しかし、医療については、当然のことながら独立採算という考えを基本として、今後とも取り組んでまいりたい。病床稼働率の向上をはじめとする歳入の確保や、病院管理経費の合理化による削減を図るなど、医師、看護職員など、職員が一体となって、医科大学付属病院としての重要な役割を果たしながら、効率的な病院経営を行ってまいりたい。五陵病院は県に設置が義務付けられた精神病院として、県下の精神医療の中核的機能を担っている。精神医療の充実強化、精神科の夜間・休日を含めた救急医療の基幹病院としての役割を果たしていることから、経費の一部については行政で負担しているが、今後共より一層効率的な病院の運営に努力をしてまいりたい。上水道料金については、市町村の条例で定めることとされているが、病院についても一部の団体で別料金設定が行われている。水道料金の決定にあたっては、地方公営企業の運営はその経営に伴う収入をもって充てるという「独立採算」を基本に、市町村それぞれの状況に応じ判断すべきものと考えている。

(質問3)精神科の医療について

救命救急センタ−であり県立の病院である医大附属病院としては、精神病の救急患者が今後入院できる体制作りを検討していくべきではないか。また、触法精神障害者の犯罪が増加する中、精神科医療にも特段の配慮が必要ではないか。
(福祉保健部長答弁)
精神科救急医療システムの整備については、医療圏を紀北・紀中・紀南の3ブロックに分けての緊急時の対応を原則としているので、紀北ブロックについては、県立医科大学も視野に入れて検討する。次に、県としては、現行法規の中において医療を必要とする精神障害者に適切な医療を提供できるように精神科救急医療システムの充実、保健所が行う地域精神保健福祉活動や、精神保健福祉センタ−の業務等を充実させ、当事者や家族の方が気軽に精神保健の相談ができるように、体制の整備に努めてまいりたい。そして様々な機会を通じて、精神障害者に対する偏見や差別を無くすための啓発活動を実施していく。


(要望)
再生医学について
 再生医学とは、培養した細胞や組織、バイオディバイス(生きた細胞を組み込んだ医療器具)などを体内へ埋め込み、機能不全に陥った臓器や組織を再生、回復させる医療であり、いまや近畿の各府県でバイオ(生命科学)関連施設が設立されてきている。和歌山県でも再生医学研究の萌芽が見られ始めており、県立医科大学、近畿大学生物理工学部そして和歌山大学システム工学部といった高等教育研究機関があるのだから、それこそ医大が音頭をとって三大学一緒になって再生医学への取り組みを本格的に始めるべきだと思うがどうか。まさに日本人の三大死因であるガン、脳卒中、心臓病や糖尿病などの克服のため、早急に考えていくべき課題であろう。和歌山県が再生医学、ゲノム解析に本格的に取り組むことによって、バイオ、製薬関連会社の企業誘致にもつながってくると思う。県はいつまでも乗り遅れないように今後の取り組みを急ぐよう強く要望する。

<平成13年6月26日(火)文教委員会報告>

1.(長坂質問)
県立図書館の図書購入予算が全国的に少ないのではないか。
(答弁)
予算については、都道府県の規模に違いがあり一概には言えないが、平成12年度には3,445万円で全国45位で、人口あたりに換算すれば全国25位になるが、確保に努力したい。

2.(長坂質問)
県立の図書館、美術館、博物館、紀伊風土記の丘の予算が軒並み大幅ダウンとなっているが、経済状況の厳しい鬱なときこそ、歴史文化の豊富な和歌山県のこうした文化発信基地の充実を図るべきではないのか。
(答弁)
厳しい財政状況であるが、文化関係予算について確保できるよう努力してまいりたい。

3.(長坂質問)
紀伊風土記の丘の進入路の歩道及び車道が傷んでいる。県外、県内の利用者が多い上、障害者の通行に支障が生じていると聞いているが、再三要望しているのだが、対策はどうなっているのか。
(答弁)
進入路については、昭和46年にオ−プンし、30年余経過しており、車道にはひび割れが生じており、小さな穴についてはコンクリ−トで詰め補修しているところである。歩道については、街路樹である楠の木、やまももの木の根が張り出し、アスファルトのひび割れを起こしている状況であり、紀伊風土記の丘で種種検討した結果、この梅雨明けには、整備補修する予定であり、材料を購入済みである。