長政研レポ−ト vol34号 鮎汲号 議会報告

 

<平成211210()県議会一般質問>

1.      和歌山県のがん対策について

 先日那賀病院で毎月2回行われている「那賀いきいきサロン」という、がん患者、家族の方と医療スタッフが加わって、お互いの不安や悩みを話し合う場を見学に行ってきた。医療スタッフが事務局長、コ−ヒ−を飲みながら、実際に治療を施す医師のバックアップも得て、看護師さんのお話とそれに対する患者さんの真剣な質問、熱のこもった、でも雰囲気の和やかな交流会だった。がんサロン発祥の地島根県で去る921日「第1回全国がんサロン交流会」が開催され、那賀いきいきサロンからも参加された。がんは島根県における死亡原因の第1位で、平成17年度から県独自の事業として、「島根がん対策強化事業」に取り組んできた。国で186月がん対策基本法が成立、同年9月に島根県議会議員全員提案で全国初の条例である「島根県がん対策推進条例」制定、203月には「島根県がん対策推進計画」策定、「がん予防の推進」「がん医療水準の向上」「患者支援」の3つの柱として総合的がん対策に取り組んでいる。「島根県がん対策推進協議会」には4人の患者委員がいて患者の声を計画に反映している。患者支援として定期的な意見交換会の開催、サロンのリ−ダ−育成、がん患者塾の開講等、患者の視点に立った施策が充実している。平成19年にはお茶とかバナナを買うと消費者が募金することになる、企業参加の「がん対策資金」が始まり、219月現在、約64千万円も集まっているそうだ。がんサロンの一番のメリットは、患者さんはサロンでの交流で闘病する勇気をもらい、非常に前向きになることだ。現在島根県内に22カ所も開設され、だれでも参加できる。島根県のがん対策は、がん患者とその家族・病院・企業・メディア・行政・議会・教育が一体となった「七位一体」を基本に進められており、まさに全国的な「島根モデル」として注目を浴びている。平成203月に和歌山県も「和歌山県がん対策推進計画」が策定されたが、がん診療連携拠点病院の現状はどうか。

(福祉保健部長)県内のがん拠点病院6病院における手術件数は、年間約4800件で、手術はもとより、放射線療法や化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアの提供を行うため、専門的な知識及び技能を有する医師等の育成確保に努めている。また地域におけるがん診療に従事する医師、看護師等を対象にした研修会なども実施し、がん医療にかかる人材育成の拠点としての役割も果たしている。特に、県立医科大学附属病院では、多くの職種を確保して、組織横断的なチ−ム医療を基本とした、先進的かつ集学的ながん診療を行うための腫瘍センタ−がこの度設置されたところであり、質の高い高度な医療の提供が期待される。今後ともがん拠点病院の医療従事者の育成確保を積極的に支援し、すべての県民が質の高いがん診療を受けることができる連携体制の整備を進めていく。

(長坂)本県の6つのがん拠点病院には専任の相談員を配置した相談支援センタ−が設置されていると思うが、どのような利用状況か。

(福祉保健部長)相談件数は、年間約1800件となっており、療養上の相談以外にも、がんの予防・早期発見等に関する一般的な情報や、診療機能、入院・外来の待ち時間情報などを必要に応じ提供している。

(長坂)がん患者の皆さんがつらくて悲しい思いを前向きな気持ちに変えてメンバ−同士で情報交換をしながら連携して、その中で患者の声を行政や医療関係者へ伝えていき、ひいてはがん対策を大きく変えていく、そんな力が「がんサロン」にはあると思う。県下各地にある病院の患者会をバックアップしていける、患者の目線に立ったがん患者支援を行っていただきたいし、がんサロンの普及に力を注いでいただきたいがどうか。

(福祉保健部長)現在公立那賀病院をはじめとする県内の各がん拠点病院では、患者相互の相談や交流活動に取組んでいるがん患者団体との連携や協力が進められている。県としては、各がん拠点病院を中心として、これらの患者団体の活動の輪が広がり、がん患者及びその家族が心の悩みや体験等を語り合う「がんサロン」が普及、定着していくよう支援していく。

(長坂)がん予防には何より早期検診が望まれるが、和歌山県がん対策推進計画において、5年以内の各がん検診の受診率を50%以上にするという目標値が掲げられているが、実現させるためには、企業・団体等の職域検診や住民検診を義務化するような手立てが必要ではないか。

(福祉保健部長)市町村のがん検診体制の充実に向けた所要財源のよりいっそうの充実拡充、及び市町村または医療保険者におけるがん検診実施を法により義務化することなどについても国に要望してきている。今後ともがん検診体制の充実に向け、必要に応じて国に対して要望するなど積極的に取り組んでいく。

(長坂)現実にそれぞれのガン死亡率が減少するよう、例えば、がん検診についても頻度の多い願主について、それぞれの検診の具体的なアクションをお示しいただくような実効的ながん対策を進めてほしい。県として放射線治療医、主要内科医、また病理医等の育成について数値目標を持っていただきたい。

 

2.      和歌山県の医療について

(長坂)最近の本県の精神科救急医療システムが問題なく機能しているかどうか、そして和歌山県立医科大学附属病院の精神科の救急患者の受け入れはどんな状況か。

(福祉保健部長)本県では精神科医療機関が休日・夜間に診療時間を設けていないため、その時間帯における精神疾患の発症、再発に対し、緊急に診察・入院等の医療が必要な場合に対応できる体制を県内3ブロックに分けて整備している。紀中ブロックは県立こころの医療センタ−。紀南ブロックは紀南こころの医療センタ−を基幹病院に指定し、紀北ブロックでは民間の精神科5病院の輪番制による救急患者の受け入れ態勢をとっており、これまで円滑に機能している。県立医大附属病院の精神科の救急患者については、支援病院として、他の病院では対応できない身体合併症を有する精神疾患患者について、年間約800人の患者を受け入れている。

(長坂)総務省のモデル事業で101日から愛知、奈良両県と大阪市で、#7119に固定電話からかけると、看護師や救急救命士らが症状などを尋ねてくれて、より詳しい診断が必要なときは医師が相談に加わってくれる「救急安心センタ−」ができた。急を要さない救急車の出動を押さえ、救える命を増やすのが狙いだ。和歌山県ではこの救急相談#7119の導入予定はいかがか。

(福祉保健部長)導入については、相談窓口と指令センタ−との連携、医師や看護師の確保、またすでに実施されている相談窓口との連携などの点において課題もある。本年度から実施されている総務省の「救急安心センタ−モデル事業」の効果分析や検証結果などを踏まえ、関係機関と相談しながら検討していく。

(長坂)全県的に医療レベルを高めていくためにも、技術的にも人的にも地域的な医療格差を解消していくコ−ディネ−トを県当局が主導して行ってほしい。そのために全県的に卒業生や研修生のネットワ−クがもてる和歌山県立医科大学の、現場の医療状況を熟知している中堅幹部医師を保健所のみならず、県行政の例えば福祉保健部の要職に配置して、県の医療福祉行政のさらなる充実を図ってみてはどうか。

(知智)提案の人事交流については、よいアイデアだと思うが、一方で深刻な医師不足下で、医師に来ていただけるかという議論もある。そもそも行政官をやりたいか、あるいは、そういう能力を持っているかといった問題もあって、検討課題とさせていただきたい。いずれにしても主旨を呈して、県立医科大学との連携を積極的に進めてまいりたい。

 

3.      COP15とサイクリングについて

(長坂)127日デンマ−クのコペンハ−ゲンにて、2013年以降の温暖化対策を決める国連の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が始まった。COP15に向けて京都議定書からコペンハ−ゲン議定書への流れを作ろうとして今年5月に全国9ヵ所で開催されたのが「デンマ−ク大使と走ろうエコサイクリング大会」であった。和歌山市も開催場所のひとつとして、和歌山城を起点に県市町村の協力のもと、約215名がサイクリングに参加した。私も実行委員長として当初から関わったが、CO2削減には自動車の代わりに環境に優しい自転車に乗って、同時に観光アピ−ルも行おうということで、市内3コ−スを設定して1人平均約34km走った。自動車1台あたり1kmにつき約230gCO2排出、自転車だと1kmにつき約0.7gの排出という基準で計算すると、和歌山大会においては走行距離合計約7262kmCO2排出削減1670kgsという結果が出た。今COP15が開催されているが、知事の和歌山県の「環境」を守っていこうという強い思いを聞かせていただきたい。

(知事)将来の世代によりよい環境を引き継ぐべき理想と、経済発展を阻害できないという現実のはざ間で各国の思惑が交錯し、難航する交渉を目の当たりにして、この問題の難しさを改めて感じている。未来の子どもたちによりよい地球環境を残すために、本県でもその自然的社会的条件を踏まえた地球温暖化対策を推し進める必要がある。今後、加速化する国の温暖化対策と一体となって、県内各層における省エネ対策や太陽光発電など再生可能エネルギ−導入、本県の特性を活かした森林資源によるCO2吸収源対策等を積極的に推進していく。

(長坂)今県サイクリング協会ではサイクリングマップ作成を考えている。エコ、観光、そして健康をアピ−ルするサイクリングの振興に寄与できればというものだ。県当局としては、本県の持つ魅力のアピ−ルのためにも、和歌山市から高野の世界遺産に繋がる紀ノ川沿線のサイクリングロ−ド整備に国をはじめ関係市町とともに取り組んでいただきたいがどうか。

(知事)自転車の利用は、県民の健康増進やCO2の削減に資するわけだが、地域の新たな観光振興のツ−ルとして活用が見込まれるために、県としては、自転車の利用促進に努めてまいりたい。特に観光という面は、和歌山にとってかなりいい玉になるのではないか。ご要望の紀ノ川沿線のサイクリングロ−ド整備については、実は私も内部で検討を命じている。議員指摘のように、すでに使える部分がかなりあるし、沿線の既存道路の整備状況や、一部地形上難しいところもある。本日の議論を元に、いっそう検討に拍車をかけてまいりたい。

 

4.      南海電鉄「和大新駅(仮称)」について

(長坂)平成26年には6500世帯、約3万人の人口を構想している和大学園前「ふじと台」だが、1日の乗降客数約6千人が見込まれるという「和大新駅(仮称)」の完成が待たれる。和大新駅の建設工事は平成197月に着工、総事業費約33億円をかけて、完成は平成23年度と聞いているが、現在の進捗状況はどうか。

(企画部長)現在工事は3年目だが、これまでに大規模な土木工事はほぼ終了し、現在は線路工事や駅舎の工事に取り組んでいる。工事は平成23年度末に完成し、平成24年春には駅開業の予定で進んでいて、本年11月末の進捗状況はおよそ46%である。

(長坂)和大新駅完成を目途に、時間帯によって和歌山市駅から直接関西国際空港へ乗り入れできる直行列車も走らせていただけるよう、南海電鉄へ申し入れをしてはどうか。

(企画部長)泉佐野駅における連続立体交差事業の完成によって平成171127日のダイヤから空港線の運転本数の増加とともに、一部の列車を除いて同一ホ−ムでのスム−ズな乗り換えが可能となっている。さらに本年104日からのダイヤ改正で、特急サザンを平日、土・休日とも32本に増発したことに伴い、おおむね30分間隔で運行されるなど、利便性が向上している。関空への直行列車となると、莫大な投資を伴う工事を必要とするため、現状では難しいが、提案の趣旨を南海電鉄に伝えて引き続き利便性の向上に向けた努力を求めていく。

 

5.      科学技術振興機構(JST)の地域産学官共同研究拠点整備事業について

(長坂)国の平成21年度補正予算で文部科学省からJST695億円の補助金を出して、各都道府県の地域の特性を活かした産学官共同研究を推進するとともに、研究成果の地域企業への展開を図ろうとする事業だが、本県も和歌山県「産学官共同研究プロジェクト推進センタ−」整備構想を立てJSTの方へ8月以降申請、ヒアリングを重ねていたが、政権が交代して695億円の予算が263億円程度に減らされ、施設はダメ、地域にシ−ズのある共同研究に資する機器・装置の計画に対する補助に限定し、都道府県も絞るという方針変更を行った。県も12月初旬最終要望案をまとめてJSTへ提出したが今回選に漏れた、それも近畿で一県だけ落とされたと聞いた。近畿6府県でバイオの取組みが唯一遅れた県であって、それなら和歌山県の持つ全国有数の農産物資源、特に果実を活用してアグリバイオを振興していく、これは和歌山県にとってまさに今後の飛躍の命運を握っていると思う。今回なぜ本県はJST資金獲得に失敗したのか、反省と検証は必要だ。本県の持つ地域資源やポテンシャルを活かして地域振興を図れる絶好のチャンスだった。ぜひ猛省して立ち遅れている本県の科学技術振興に一大戦略を立てて取り組んでもらいたいと強く要望する。

 

<平成211214()県議会経済警察委員会>

(長坂)例年、大晦日というか元旦の午前1時くらいから暴走族が爆音を立てて走っている。国道42号線・高松交差点周辺でも正月の風物詩だと思うが、最近の暴走族の現状はどうなっているか。年末年始の暴走族対策はどうか。

(県警本部)暴走族の現状について、警察では3グル−プ79名、暴走族に属さない278名を含めて合計357名を把握している。グル−プ数、暴走族人員はここ数年横ばい状態だ。最近の暴走族の特徴は、中学校の同窓生を中心に、主に原付車による小集団でのゲリラ型走行が主流だ。暴走族に関する110番通報は、平成13年の1377件から、覆面2輪「黒豹」、「銀虎」の導入効果等により、昨年は548件にまで減少した。ここ数年、年末年始は大規模な暴走は発生していない。年末年始の取り締まり体制は、各警察署、交通機動隊、高速隊等による昨年同様約千人の特別取締体制を取り、取り締まりに当たる方針だ。

(長坂)交差点の見通しを悪くしている個人所有の植栽に規制をかけられないものかと思う。交通量が多いほとんどの交差点では一方に一時停止の規制がかけられているが、植栽のために見通しが悪くなっている危険な地点がある。このため、例えば交差点から5m以内にある植栽を伐採するとか、地上2m以上は枝切りをするとかの規制はできないか今後の課題としてほしい。

(長坂)本会議に続いて、JSTの地域産学官共同研究拠点について尋ねる。JSTにどんな最終案を出したのか。

(商工観光労働部)JSTの拠点施設については、自治体と大学等が共同して提案するようにということで、県としては地域ぐるみで取組むこととし、和大、和医大、近大生物理工学部と共同で、和歌山県の特色を捉え、「農産物の高付加価値化」と「高齢化社会対応」の2つのテ−マで共同研究をしようと取組んできた。併せて材料を評価する設備、レ−ザ−を用いた超微細加工設備を導入し、県内企業が使える共同利用設備も備えようという提案を行った。

(長坂)地元に研究実績の裏づけがあるものが優先されたように聞いているが、例えば、果実の食品加工周辺機器等に絞って最終案を提出すればまだ可能性があったのではないか。新エネルギ−、バイオマスやロボットの分野は残念ながら地域に育っているシ−ズがあるとは解釈してもらえなかったのではないか。

(商工観光労働部)エネルギ−やバイオマスなどについては、もとの中心になる研究について国の資金を獲得するなど、各大学でされており、JSTにおいても評価されていると思うが、今回補正予算の見直しで、導入機器の置き場所が、中心となる工業技術センタ−、近大生物理工学部、医大のみらい医療推進センタ−の3カ所に分散することになり、総合的なマネジメントが困難だと判断されたと聞いている。果実の機能性と食品加工についても県としては大事に思っているが、文部科学省の言う「研究開発」とは少しばかり方向が違うのではという話も聞いており、共同研究の中心としては難しかったように聞いている。

(長坂)確かに県としては近大だけでなく和大や医大もこの事業に巻き込みたかったのだと思う。しかし要は和歌山県のためだから、今回は譲ってもらって次回はその譲ってもらった大学中心に頑張るからという形で調整することもできたのではないか。国の政治状況も影響したかもしれないが、その中で当局も意見を1つにして、戦略として1つに絞ってまとめていたら成功した可能性もあったのではないか。

(商工観光労働部)県の出したコンセプトとしては、地域でみんなが一体となって、3大学が一体となって共同で研究できるもの、共同で研究していってこれから和歌山を発展させていこうではないかという方向性をまず優先した。結果は残念なことになったが、検討する中で、今までは共同で何かしようという方向のなかった3大学が集まり、共同で何かしようというつながりとか連携の基礎ができたので、それを利用し、今後国へも大きな顔で出せるような地域の中核となるシ−ズを作っていきたい。

(長坂)第一次産品である、和歌山県有数の全国にアピ−ルできる農産物においても、産地間競争はこれからも激しくなってくると思う。本県の強みをもっと強固なものにしてぶっちぎるくらいでないと追いつき追い越される、そのためにも、農産物に付加価値をつけて販売に結びつく食品加工のような1.5次産業にもっと力を入れていただきたい。

 

 

<平成22113()14()経済警察委員会大分県出張>

 平成20年度の都道府県の企業立地満足度調査で総合評価が全国で第1位となった大分県へ視察にまいりました。県東京事務所には企業訪問の専門スタッフがいて、スピ−ドを大切にして何度も企業へ通って企業に好かれる取組みを検討、ダメだったときも必ずダメだった理由を聞きに行くといった敗戦処理も行うようで、必要なインフラ整備にも対応していくとのこと、また景気変動に負けない地場産業の体質強化も手がけ、県内工業高校や産業技術専門校でのものづくり人材の育成・確保にも鋭意取り組んでいました。豊後高田市の「昭和の町」は、古いものを「売り」に、懐かしさを楽しんでもらうような観光要素を入れた商店づくりに取組んでおられました。昭和の建築再生、歴史再生、商品再生、商人再生をテ−マにお客様の回遊性を目指して現在年間約35万人の観光客来訪を実現しています。

 

<平成22127()29()防災・環境問題等対策特別委員会視察>

 大阪府の津波・高潮ステ−ションを訪れた後、長岡市の旧山古志村を中心に()中越防災安全推進機構の山口局長にバスに添乗いただいて被災地現場の状況を視察しました。行政が復旧に没頭する中、長岡市内の3大学がコンソ−シアムをつくって復興支援にずいぶん寄与したようです。高速道路と川を境に山側の被害が甚大で、大きな傷跡を残している上に3メ−トルほどの雪が積もった状態でした。山古志支所長の青木氏、地域復興支援職員井上氏から説明を受けました。限界集落で疲弊していたところに地震が起こり、翌日全員が旧長岡市へ移動、10月に住民の意識調査をしたところ93%が山へ帰りたいとのこと、住民を帰すことに世論が納得するのか、復旧工事に莫大な金をかける必要があるのか、旧長岡市へ移ったほうがいいのではないかという議論もあったが、誰もいなくなった山古志村にも金をかけないと下流域まで必ず影響を受けるという結論が出て災害復旧を行ったとのこと。都会の負担を軽減するものとして里山を見直すべきであり、山の暮らしをもう一回考えたとき、ここは生涯現役で暮らせるところであり、都会で朽ち果てるしかない人の受け入れるところだと、高齢化が問題というより長寿化を喜ぶことになる地域づくりができるのではないか。3年で災害復旧できるすごい力を日本は持っているが、その後その空間をどう利用するかが務めだ、と熱く語っておられました。

 翌日新潟大学の地域連携フ−ドサイエンスセンタ−を訪れ、災害食の調査を行いました。新潟県はコシヒカリを中心にした農業生産が盛んで、食品加工企業が1000社以上あります。大学の各部が連携して一つの窓口にして産学官連携を行っています。ホリカフ−ズ()別所取締役によると、災害食は、平常時での利用も条件に、長い賞味期間より被災時の役立ち度を優先、被災地の生活や活動をさせるのに普段食べている品質が必要であり、災害食の役割としては、被災時の健康面の2次災害防止と食の危機管理をあげておられました。「災害は備えた分だけ憂いなし」という言葉が印象的でした。