長政研レポート vol37号 酸葉号 議会報告

 

<平成221214日 経済警察委員会>

(長坂)1130日夕方、和歌山市三沢町の市営団地でアライグマが発見されたが、その後どのような状況か。

(県警察)三沢町の市営団地の踊り場に出没したとの通報が市役所から西警察署にあり、交通勤務員やパトカー勤務員が現場臨場し、検索を含め警戒に当たったが、発見には至らず、警察としては、子ども等に対する危害防止を図るため、警戒や「きしゅう君の防犯メール」で注意喚起した。和歌山市において、猟友会に依頼の上、箱わなを仕掛け、捕獲したと聞き及んでいる。

(長坂)最近は、岩出市の団地にイノシシが現れたり、和歌山市の市街地にも出没している。そんな時警察としてはどのような捕獲体制をとっているのか。

(県警察)アライグマやイノシシ等の野生獣類の出没事案を警察において認知した場合は、直ちに地元市町村や県の担当課に通報し、関係機関・団体等と連携を図りながら、出没獣類の状態、出没現場の状況等を総合的に勘案し、住民の安全を最優先とした危険防止措置等、適切な対応に努めている。

(長坂)最近、世相を反映してか、特にスーパーでの万引きが多くなっており、その中でも高齢者の万引きが多くなっていると聞く。県内の万引きの発生状況についてうかがう。

(県警察)現在万引きの増加が全国的に社会問題となっており、その背景には、社会全体の「規範意識の低下」があるといわれる。本県においては、平成14年以降、刑法犯認知件数は8年連続で減少させているが、万引きのみは増加しており、本年の11月末現在で1171件と、前年同期比で103件の増加だ。万引きの大きな特徴として、60歳以上の犯行が全体の半数近くを占めている状況だ。

(長坂)多発する万引きについて当局の対策は。

(県警察)万引き防止対策を最重点課題の1つととらえ、本年7月に、スーパー等の事業者、関係機関等と合同で「和歌山県万引き防止対策協議会」を設立し、また、各警察署ごと「警察署万引き防止連絡会」を設置し、官民一体となった万引き防止総合対策を推進している。「万引きは犯罪である」との当たり前のことを県内に浸透させるため、事業所に対し、万引きを認知した場合の全件届出を要請すると共に、県民等への万引きについての情報提供、警察やボランティア団体による店舗への立ち寄りを強化し、事業所に対しては「万引きがしにくい店舗づくり」を働きかけている。

(長坂)南海電鉄が医療観光事業に着手しているという新聞記事を読んだ。本県は関空から至近に位置し、南海電鉄の利用も可能であり、県立医大には世界的に著名な医師もいる。検査・手術後に中長期的に本県に療養滞在し、地元の食事と温泉を楽しむようなツアーを提案してもいいのではないか。県の医療観光の取組みについてお聞きする。

(観光交流課長)医療観光の実施に当たっては、現地旅行会社がそのコースを造成・販売する必要があることから、当課が海外の旅行会社に対してセールスする際には、医療観光ツアーの造成・販売の可能性や医療観光について現地旅行会社と話し合いを行っているところだ。今後現地旅行会社等との協議をさらに進め、南海電鉄を含む全国の先行事例を参考にしながら、医療観光モニターツアーを今年度中に開催したい。

(長坂)医師の中には医療観光に積極的な意見を持った方もいる。県立医大や日赤医療センター等、医療機関との観光における連携についてどう考え、実践しているのか。

(観光交流課長)医療観光ツアーが旅行商品として安定的かつ継続的に造成・販売されるためには、医療機関側が外国人観光客の受け入れに積極的であるかどうかが重要なポイントになる。当課では、現在病院協会等と連携しながら、医療観光に対する各医療機関の考えについてアンケート調査を行うと共に、個別の医療機関に直接意見を伺う等、検討を進めているところであるが、今後とも、医療機関と連携しながら医療観光の事業化に向けた検討を行っていく。

(長坂)地域医療を担う中核病院が外国人を受け入れることは難しい面もあるが、検討してほしい。政府においても新成長戦略で「医療滞在ビザ」を新設し、渡航回数、滞在期間に弾力性を持たせて外国人患者を積極的に受け入れる方針を示している。東アジアでは、すでにシンガポールやタイ等で安価な医療観光の取組みが進んでいる。本県でも医療観光先進県となるべく積極的な取組みをお願いしたい。

(長坂)近畿地区の2010年上期工場立地件数は前年同期比26.3%減の59件、うち和歌山県は5件だった。減少は2年連続で昨年を下回る水準となっている。最近は立地企業への補助金、低利融資、税の優遇措置等の助成制度が各自治体で似通ってきており、本県も独自色を出してアピールしていかなければならないと思うが、他府県に負けない企業立地策として、どのような考え、施策を持っているか。

(企業立地課長)奨励金には、工場を立地した際の立地奨励金、雇用奨励金があり、最高100億円となっている。情報産業系の奨励金については、通信補助金、オフィス賃借補助金、南紀白浜空港を利用した場合の航空運賃補助金などの独自色ある奨励金がある。2つ目には、最高限度額25億円という全国トップクラスの融資制度がある。3つ目には、企業が求める人材の確保が重要であることから、人材データバンクを設け、県内で就職を望んでいる個人の方を登録し、企業にご提案をしている。4つ目には、立地企業へのスピードある対応が大切で、ワンストップサービスということで企業の要望・許認可に対する迅速な対応を行うべく体制を整えている。5つ目には、知事のトップセールスを始め年間1000件に及ぶ企業訪問を行っており、東京事務所も含め職員一丸となって企業誘致に取組んでいるところだ。ライバルの他府県にも同じような制度があるが、本県は総合力でどこにも負けないような企業誘致活動を行っていく。

(長坂)「この団地のこの区画が空いています」といった売り方ではなく、滋賀県のように、進出を検討している企業の要望を聞いた上で造成するような、いわばオーダーメイド方式をとっているところもある。更なる立地の利便性向上や手続きの迅速化、県内外を問わず学術研究機関と強い連携体制を構築していってもらうとか、企業の本当に望む、企業の目線に立った他府県に負けない工場立地策を講じていただきたい。

 

<平成232月県議会 一般質問>

1.           新年度を迎えるにあたって

(長坂)知事は昨年知事選で精力的に県内をくまなく回って、全国的な不況の中で、県下の状況、県民の声を色々聞いたと思うが、改めて2回目の選挙を戦った感想をおうかがいする。

(知事)多くの県民の皆様から景気や雇用といった県民生活に深くかかわる切実な声を数多くいただいた。県民の皆様が厳しい景気低迷の中で、歯を食いしばってがんばっている姿を実感し、和歌山を元気にするため、さらにがんばっていかなければならないと強く感じた。選挙は多くの皆様に助けていただいて当選を果たすことができたが、県政でこれをお返しすることが大事だ。だからその気持ちを込めて、登庁第一声で県庁職員に、「みんなでまた仕事だ」と申し上げた。

(長坂)11月の知事選挙を踏まえて、新年度予算にどう反映したか。

(知事)具体的には、働く場の確保がやはり重要であると考えて、がんばる地場産業への一貫した支援や企業誘致、果樹産地の再生、低コスト林業の推進等の農林水産業の振興など県内産業の活力強化を進める。特に中山間地域を訪問した際に、鳥獣被害の深刻さを目の当たりにしたので、鳥獣害対策予算を倍増した。早期のインフラ整備を望む声も大変多かった。各生活圏の背骨に当たる「川筋ネットワーク」整備に集中的に取組むなど、県内の道路ネットワーク整備に引き続き注力する。暮らしの安心安全を望む声も高く、子どもの命を守るヒブワクチン等の摂取支援や、地域の拠点病院の整備をはじめとする安心医療の充実、災害から県民の生命・財産を守る中小河川の浸水対策など生活に密着した施策の拡充に努めた。

(長坂)関西広域連合が昨年121日に設立されたが、今後知事はこの連合にどう関わり、実効性を持った県の施策推進につなげていくのか。

(知事)関西広域連合では、独自の組織として、府県知事で構成する広域連合委員会を設置し、合議による運営を行うこととしている。委員会においては、重要事項や今後の方針を全会一致で決定していくことになるので、私も委員として、本県の意見や提案をしっかりと言っていくと共に、副広域連合長としての調整役も果たしていきたい。委員会で大筋が決まると、各府県知事が担当する分野ごとの執行責任をにない、事業の立案から実施までを行う。担当府県以外の府県では、事業担当の幹部が広域連合の参与として兼務していて、事業の立案段階から、各府県の意見の反映や、広域連合の事業と府県事業のマッチングの実施などを行う。平成23年度から本格的に活動していくので、こうした仕組みを十分活用して、広域連合が行う観光や防災などの分野における事業等が、本県の施策や事業と連携の取れたものとなるようにしていきたい。

 

2.           がん治療対策について

(長坂)標準治療とは、ある一定の基準にのっとった治療のことで、医師個人の勘や経験に頼ったあやふやな医療ではなく、効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、たくさんの臨床実績が必要であり、そのときの最も成績のよい治療方法である。誰もが、どこでも、同じように最良の治療が受けられることを目指した考え方だ。県下でがん治療を行っている病院には標準治療はいきわたっているのか。すなわちどこの地域でも同じような治療が受けられる体制になっているのか。

(福祉保健部長)現在県内に6箇所あるがん診療連携拠点病院においては、手術療法、化学療法および放射線療法を組み合わせた集学的治療と緩和ケアが実施されると共に、各学会の診療ガイドラインに準ずる標準的治療を提供している。標準的治療等の提供が可能な診療体制を拡充するため、和歌山県がん診療連携推進病院の制度を創設して、がん拠点病院のない二次保健医療圏を中心に整備を図っている。

(長坂)和歌山県においても化学療法ができるがん専門医の育成・充実が急がれるが、県の施策は。

(福祉保健部長)県立医科大学を始めとするがん拠点病院では、がん治療に携わる医師による専門的知識の習得と専門医の確保に努めている。また、がん拠点病院をはじめ、二次保健医療圏の中核病院などで構成する県がん診療連携協議会に、昨年6月新たに化学療法部会を設け、県内どこでも質の高い化学療法が受けられるよう取組みを進めている。

(長坂)患者サロンも病院の協力もあって、那賀、県立医大、橋本市民、和歌山労災と各病院でできてきた。家族へのサポートも大切だという観点から家族が話し合う家族の集いも始まっているそうだ。各がん拠点病院にあるがん相談支援センターとの連携も合わせて、患者、家族に対するサポート、援助体制の充実についてうかがう。

(福祉保健部長)県としては、それぞれのがん拠点病院に設けている相談支援センターが果たす役割の一層の充実に向けて引き続き支援を行っていく。

 

3.           食品加工研究について

(長坂)国の6次産業(農林水産業(1)、製造・加工業(2)、そして流通・販売業(3)合わせて6次)化推進のもと、本県も全国有数の生産量と質を誇る果樹を有しており、販売流通にも力を注いでいるが、やはり加工の部分が弱いと思う。生果だけではいくら味がよくても伸び悩んでしまう。実際果実の消費は長期的に低落傾向にある。消費者のニーズにも的確に応えていく必要がある。県の6次産業化への取組みと考え方についてうかがう。

(知事)農林水産業を核とする6次産業の推進は、農林水産業の振興のみならず、新たな産業の育成や雇用機会の拡大を通じて地域活性化に大きく寄与すると考える。本県は多種多様な農林水産物の生産に加えて、梅干に代表される食品加工を行う特色ある地場産業があることや観光資源が豊富なことから、6次産業化に向けた高い潜在性、ポテンシャルを持っていると思う。議員お話の食品加工の推進は、6次産業化推進のポイントとなるものであり、食の外部化の進展に伴って需要の拡大が期待できる分野であるが、県内の加工の実体を見ると、果樹をはじめとする農林水産物が数多くあるのに、それらを加工する取組みがこれまで弱かったが、ようやく働きかけで県民の中にその機運が盛り上がってきた。各地の盛り上がりを生産・販売面で助けることはもちろん、大手食品・飲料メーカーとの共同による商品開発をはじめ、食品産業と農林漁業者との連携により商品開発を進める農商工連携、また農林漁業者自らが生産・加工・流通・販売に一体的に取組む新農林水産業戦略プロジェクトなどを進めている。これまでショウガのジンジャーエールや有田みかんのポン酢などのヒット商品が生まれているが、今後こうした食品加工を含めた6次産業化をより一層強力に推進し、産業振興につなげていきたい。

(長坂)今後本県の持つ食材をもっと伸ばしていくには具体的に世界戦略、国内戦略を打ち出していく必要がある。たとえばせっかく文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業等で梅のポリフェノールの機能性も実証されてきたのであれば、その臨床結果のもとに商品化して全国へ、そして世界へ売っていかなければならない。県工業技術センター食品産業部を加工技術が指導できるレベルに押し上げていかねばならない。将来的には仮称和歌山県食品科学センターを作っていく必要がある。まず産学官民を構成メンバーに、和歌山県の食品加工を強化するための組織・機能を検討する場を立ち上げていただいて、将来戦略、人材面、設備面、協力ネットワーク体制等を議論して、本県の宝というべき食材の加工、活用について推進してほしいがいかがか。

(知事)支援する機関だが、2つに大きく分けられる。ひとつは県内企業に対して、工業技術センターが食品の機能性研究や技術相談等で支援を行っている。和歌山県の産業技術振興基本計画でもアグリバイオインダストリーは重点的に振興すべき4つの分野であって、産業化も十分視野に入れた活動を今後協力に展開していかなければならない。農業生産者自らが取組んでいる食品加工については、たとえば紀の川市の「桃りゃんせ夢工房」が桃ジャムを始め多くの加工品を作って、観光客を呼んで人気を博しているといった例が近年出てきた。こうした活動をより一層支援し、県内農林水産物に係る加工食品のレベルアップを図ることは大変重要だ。県にいくつかある農林水産関係の研究機関に栽培部分だけでなくて食品加工を指導できる機能を付加していったらどうかという問題意識で今後検討していきたい。

(長坂)本県の長期総合計画においても、「加工を核としたアグリビジネスの構築」として「特定保健用食品の認定も視野に入れた機能性食品等の研究開発に取組む」とうたわれている。そのためには企業の持つニーズを商品化するための加工研究開発を専門的に行う拠点はどうしても必要だ。それに農・商・工の連携体制は欠かせない。たとえば和歌山県食品科学センターといった中核になる組織の中で、県の目指す売れる機能性食品づくりに一刻も早く取り掛かるべきだ。食品加工戦略のためのヘッドクオーター制についても、今まで農林政策局長をヘッドクオーターとして農林と商工を統括する形で議論してこられたと思うが、どうしても遠慮があったのではないか。和歌山県の将来に向けた食品加工戦略をさらに強力な実効力あるものにしていく、そんな議論を推し進めるためには、トップダウンで知事もしくは副知事にヘッドクオーターになっていただくことが必要ではないか。

(知事)ヘッドクオーター制度については、組織横断的な重要課題に対して、縦割りではだめ、迅速かつ的確に対応するために設置している。和歌山県の食品加工戦略というのは大事なものだから、当然私が先頭に立ってすべての関係職員をよく指導して検討していく。

 

4.           和歌山県の教育について

(長坂)昨今県下の中学校でいじめの横行、特に集団でのいじめの話をよく聞かされる。本来好きなことに打ち込めるはずのクラブ活動にも影響が及んでくる。担任がいじめの存在を見て見ぬふりをしていたり、学校として校内での登校指導もおろそかにしているような状況があると聞いた。県教育委員会として小中学校の生徒指導の現状をどのように把握しているのか。

(教育長)いじめは児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼす深刻な問題だ。本県の小中学校におけるいじめの認知件数は、全国的には非常に少ない現状だが、その中での、集団で1人の児童生徒をいじめる悪質な事例や、携帯電話やパソコンを使用したネット上のいじめなどの見えにくい事例も報告されている。現在すべての公立学校において実態把握のためのアンケートを実施し、いじめの早期発見と解決に努めている。いじめは絶対に許されないという意識を児童生徒にも教員にも徹底させると共に、一人一人が尊重される集団づくりを行い、組織的に問題解決に取組んでいる。今後教育委員会としては、児童生徒が発する小さなサインを見逃すことのないよう様々な機会を通じて、各学校に指導していく。

(長坂)確かにモンスターペアレンツと呼ばれる、自分の子どもだけよければいいような、自分の家庭における教育のことを棚に挙げて学校を攻め立てる一方の保護者も少なくないようだが、小中学校というのは義務教育だ。子どもたちには、全体の中の1人であることを受け止め、そして人の気持ちにも配慮できる人間に成長していってもらいたい。まして選ばれた教師というのは聖職者だ。教師は、生徒に対して「自分の思い通りになるものではない。子どもが何でも自由に選べるものではない」ということを毅然とはっきりと自信を持って指導してほしいと思うがいかがか。

(教育長)教育委員会としては、教員に対し、日頃から児童生徒の実態把握に努め、児童生徒に寄り添い、粘り強く熱意を持って対応すると共に、いじめや暴力行為には、毅然とした態度で臨み、規範意識を始め豊かな社会性を育てるよう引き続き指導する。保護者への対応についても、誠意を持って対応する一方で、児童生徒のことを一番に考え、一人一人が社会的な力を身につけていけるよう、冷静に粘り強く対応することを指導していく。

(長坂)まさに児童生徒の発する小さいサインを特に担任の先生は見逃さないよう細心の注意をいただく、そして先生として生徒から尊敬される、そして恐れられるくらいの先生になっていただきたい。