近況報告

長政研レポ−ト vol.34号 鮎汲号

大晦日から寒く感じられる日が続いて、この冬の寒さは厳しいなと思う反面、私が子どもの頃朝起きてみると庭によく霜が降りていたり、水たまりに氷が張っていることがあったことを振り返ると、これでも年々温かくなってきているのか、地球温暖化はじわりと進行してきているのかなとも思ったりします。早春を迎えて、皆様お元気ですか。 1月1日に社会保険庁に代わる日本年金機構発足、ハイチ大地震で約5万人が死亡、インド洋の海上自衛隊による給油活動の終了、日本航空の会社更生法適用申請、アフガニスタンの同時テロ、鳩山・小沢両氏の「政治とカネ」の問題、世界のトヨタの大規模なリコ−ル問題、横綱朝青龍の泥酔殴打事件と引退等々、新年早々国内外、政治・経済そして国技大相撲にまつわる事案があって、連日大きな話題で世間が大揺れの中、刻々景気と雇用の現況は予断を許さない状況です。また、日本という国家、そして日本人の道義と歴史が培ってきた文化についてもじっくり考えてみるべき時なのではないかと思います。2010年、足元を固めつつ、日本にとって和歌山県にとって再浮上の年にしたいものです。

<平成21年12月5日(土)長坂政策研究会 政経懇談会>
 講演 「変革の世を行きぬく脳の力」 講師 和歌山県立医科大学脳神経外科教授 板倉 徹氏 大脳は思考、感覚統合、言語を、小脳は運動調節、脳幹は呼吸、意識、反射をつかさどる。感情を抑制するのが大脳皮質だ。その中で、言葉の理解・記憶は側頭葉の働きで、アルツハイマ−にかかわる。前頭葉は社会脳で、前頭前野で自己制御する。「ユリウス・カエサル」の著者塩野七生氏によれば、指導者に求められる資質は、1.知性、2.説得力、3.肉体的強靭さ、4.持続する意志、5.自己制御の能力で、カエサルはすべてを備えていたということだ。性と脳だが、メスは自分の卵を産む場所をかぎ分け、オスはメスの出すフェロモンで強い性欲を示す。右脳は、芸術の脳で、絵画、クラシック、囲碁、将棋、認識で、左脳は、論理の脳で、計算、言語、音楽では演歌、読書、行動だ。信長の脳だが、残虐性の脳で、鉄鋼船を作るなど独創性があって、前頭葉・頭頂葉が発達していてひらめきの脳で、ピンポイントの強い行動を行った。宣教師を呼んだりする世界観もあった。秀吉の脳は、帯状回、前頭前野が発達していて楽観的だ。1日半で80kmを走破した備中高松城の大返しの如く、決断の脳だ。そして幸せ回路を回す「共感する脳」を育てて人心を掌握した。晩年はアルツハイマ−病であったのではないか。家康の脳は忍耐の脳だ。6歳から18歳まで今川家で人質生活であった。前頭前野が発達している。我慢強さは幼少時の教育次第だ。2番手の処世術で、トップになるそぶりを見せない忍耐脳だ。社会脳が発達していて腹が据わっていた。信玄は「左脳型人間」で、棋風慎重で、優れた経済感覚を持っていた。検診は、毘沙門信仰といった宗教の脳、瞑想の脳で、参謀はなく1人で決断した。勇猛果敢で、大義名分に生きた。脳出血で49歳で死んだ。前頭葉、海馬が発達していたのではないか。戦国武将の女性観だが、信長は、年上の子持ち後家好み、実母に嫌われマザコンであったのではないか。秀吉は、無類の女好きで、高貴な女性を好み、信長の妹のお市の方が理想で、お市の方の娘の淀君を側室にした。家康は、出自を気にせず、見かけのみ、側室は10人以上いたそうな。信玄は男色ありとか。謙信は生涯不犯(未婚)、初恋の人を捜し求めていた。認知症は、「ここはどこ」といった忘れっぽい、怒りっぽい、やる気がない、作業できないなどの症状がある。側頭葉がやせてしまうのだ。認知症にならない職業は3つあって、料亭の女将、音楽家、そして政治家だ。いつまでも若い脳を保つには、心の保ち方が重要だ。日本人の左脳は疲れ気味だ。虫の音で季節感を感じるのは日本人だけだ。左脳、右脳のバランスが崩れるとうつ病を発症する。脳を鍛える日課としては、新聞や読書、日記を書いたり、ラジオ、CDを聞くのがよい。

<平成22年2月4日(木)第27回和歌山バイオサイエンスフォ−ラム>
1. 熊本製粉(株)取締役副社長川崎貞道氏  「熊本県における食品分野での産学官の取り組み」  1つ目は、くまもと食品科学研究会で、県内の食に関する企業・団体・大学・公設市の技術者及び研究者の気楽な情報交換を主として設立された。会員は企業30社、個人会員60名だ。年2回研究会、広報誌も年2回発行し、「くまもと食品科学研究会大賞」事業を会員内で年1回行っている。マスコミ対応を行って、会員の販売促進に寄与して認知度がアップして、ヒット商品も生まれている。2つめは熊本県食料産業クラスタ−協議会で、目的として、@県内産学官が連携して県内農産物を活用した高付加価値食品供給A地域経済の活性化と食料自給率の安定を高め安心安全な食品を開発B農産物が持つ機能性の特徴を生かした新加工食品の提案の3点で、会員18、そのうち食品産業は13だ。年6000万円の事業を行っている。運営協議会は2ヶ月に1回開き、新商品開発をみんなでいっしょにやろうとしている。18年度事業で熊本県産小麦使用ヘルシ−パンを作ったが、これはうまくいかなかった。どういう機能性を入れたらお客さんに認められるかがはっきりしていなかったからだ。平成19年から20年のクラスタ−事業の成果として、新しい2次加工適性の優れた米粉の開発を機械メ−カ−との協同で行って新設備も開発した。期待効果として食料自給率の向上、パン、菓子、麺の地産地消だ。米粉消費拡大には農商工連携がキ−だ。  クラスタ−事業の成功のためには、目的を明確にして周知徹底させること、役割分担をはっきりさせて、強力なリ−ダ−シップが必要だ。 2.京都大学大学院農学研究科教授 東順一氏  「植物が持つ資源としての多様性と面白さ」  商品に結びつくまで時間がかかる。いかに付加価値を高めるかが課題だ。たとえばバジルから、@種子から採れるぷよぷよセルロースA表皮から採れるバイオプラスティックが付加価値を持つ。「柿の皮ビジネス」としては、表皮から取れるバイオプラスティックがある。表面にクチクラ層があり、気孔を介さない水分損失を防ぎ、紫外線・風雨から保護している。粉塵や花粉、大気汚染の沈着も減らす効果がある。

<平成22年1月23日(土)栄える会30周年記念講演>
 「日本の曖昧力」 講師 拓殖大学国際学部教授 呉 善花(オ・ソン・ファ)氏  キリスト教文化圏や儒教文化圏では、どの生活が正しいかという価値観、日本はどのような生き方が美しいかという価値観、これを外国人は理解しにくい。 日本人は「美意識」でいきている。わび、さび、もののあわれ、粋等外国人には分からない。日本人は自然の美、精神文化が極めて強い。韓国人は満月が大好き、日本人は若干欠けたものも風情があるという。外国人は満開の花が一番美しく、日本人は、一輪差しでも美しい、つぼみも美しいという、これが外国人には信じられない。八方美人という言葉が韓国にもあるが、韓国では内面も外面もかっこいい人のことをいう最高のほめ言葉だ。日本人は、常に揺れ動くものにも風情を感じる。生のものに敏感で、生のものを高度化したのが日本文化だ。日本には、「もちはもち屋」という言葉があるが、それぞれの人がそれぞれを受け入れて対立しないようにしている。朝鮮半島は大陸にくっついており、他国から圧倒されてきて自然をなくしてきた。人間の作ったものの中で生きてきて、侵略をずっと受けてきているので、自分の考え方が絶対という考え方だ。日本は海に囲まれ、どこからも侵略を受けていない。外から入ってくるものをすべて融合する。仏教が入ってきても神々が仲良くなってしまう。古代の中国の文化・文明が日本の中に残っており、時代ごとに花を咲かせてきた。日本は宝物の宝庫で、最も運の良い幸せな国だ。世界でもっとも平和で治安のいい国を作り上げた。すなわち日本の精神性を経済・文化に生かしていったのだ。

<平成21年12月20日(日)貴志川線の未来を“つくる”会結成5周年の集い>
面白いエピソ−ドが聞けたので、一部抜粋させていただきます。 (和歌山電鉄(株)社長 小嶋光信氏) 4年前貴志駅売店の小山さんが血相変えてやってきた。「猫のたまの小屋が撤収になるけど駅へおいて欲しい」といわれた。あんなきりっとした目つきをしている日本人は今いない。何とかしてあげたい。でも駅員が一番嫌がる。客の中にも犬は好き、猫は嫌いな人もいるし、無人駅だし、駅長にしたらみんな許してくれるだろうと思って、小山さんに、「いいですよ。家賃相当のものをいただく。働いて返していただく、駅長をしてもらう」と言った。とんとん拍子に決まって、ス−パ−アイドルになった。 (両備グル−プデザイン顧問 水戸岡鋭治氏)  いちご電車、おもちゃ電車、今度はたま電車だ。「どこにもないものを作ろう。それしか成功はない」と思って、おもちゃ電車の中に一流の木製家具を入れた。心と体が心地よいものということで天然素材を使った。環境にやさしいものを作るとみんな分かってくれるだろう、それが社会に対しての責任だ。この場所では実現できる、なぜなら心豊かなロ−カル線だからだ。

<平成22年2月7日(日)UIZ全国議員団会議>
「今後の政局について」 NHK政治部副部長 安達宜正氏  去年の衆議院議員選挙は、風がなくても民主党が勝っていたのではないか。自民党に対する失望感はあった。それと3党協力がうまくいったし、全国の選挙区で共産党が150前後しか候補者を立てなかった。夏の参議院議員選挙だが、民主党の単独過半数は122だ。62議席確保が必要だ。今の議席を7議席上回らないといけないが、60議席もきびしいではないか。連立政権が続くのではないか。業界団体に票が流れてくる可能性はある。連立体制はけっこううまくいってるのではないか。米軍普天間基地移設問題の決着を5月と区切ったので、5月が鳩山政権の大きな分岐点だろう。社民党も連立をまったく壊そうというのではない。小沢氏の力を借りることは必要だ。国民新党亀井氏は連立について心配している。しょっちゅう民主、社民両党にあっている。国会は今予算委員会が今週から本格審議だ。自民党が「政治とカネ」で攻めきれるかどうか。新しい政治勢力が台風の目になるかもしれない。今民主党がやっていることは与党になったから「陳情」を使って自分になびかせようとしている。今まで大事にしてきた草の根、市民が離れていきはしないか。自民党が再生するためには先ず保守の基盤をしっかりすることから始めるべきだ。夏の参議院議員選挙の争点については今みんな悩んでいる。やっぱり経済、景気回復か。夏まで状況が変わってくるかもしれない。たくさんの新人議員はみんな大変な選挙を経て当選したが、国会で何をしているのかよく分からない。1年生にあまり活躍の機会がないのか、おとなしい。本来なら「政治とカネ」でも1年生から声を上げて欲しい。今は国会内で質問をどんどんすべきで、地域の支援者の声を生かすべきだろう。(衆議院選挙を落選して参議院選へ回るのはいかがなものかの問いに対して)選挙制度が衆参あまりにも同じでもったいない。たとえば衆議院を全部小選挙区、参議院をすべて比例代表にするとかすれば、簡単にくら替えできなくなるのではないか。

<編集を終って>
昨年日頃お世話になっている方から実に懐かしい1枚の白黒写真を頂戴しました。私の当時の家はこの写真の左側に見えますが、高松交差点にほど近い旧国道42号線沿いにあって、当時高松茶屋という旅館とたばこ店を祖父母が営んでおりましたが、家の前をチンチン電車が走り、近くに和歌山大学経済学部があって、和大祭の時に和大の学生さんが仮装行列をしたり、この写真のように和歌祭の行列行進もあったようです。タバコ屋の窓から顔を覗かせているのが私の祖母でしょうし、その前に立っている子どもは私のいとこか、もしかして私かもしれません。隣の建物は当時「田舎娘」と言う飲み屋さんがあって、2階からお客さんがこの行列をゆったりと眺めているのでしょう。けっこう人出もあり、のどかな風情です。「温故知新」、何かまちづくりのヒントが隠されているような気がしました。(長)


@ 34-1 誕生会でいただいたタッタカ君ファミリー人形 A 34-2 12月5日(土)政経懇談会にて県政報告する長坂たかし B 34-6 豊後高田市昭和の町の「昭和」を意識した商店街づくり C 34-7 「昭和ロマン蔵」内のレトロな商店街の風情 D 34-9大阪府津波、高潮ステ−ションの展示室内 E 34-10旧山古志村の被災3日前に完成した新築の家の水没と土砂崩れ跡 F 34-11 土砂崩れで水没した家屋

G 34-12 新潟大学フードサイエンスセンターにてホリカフーズが開発したおいしい災害食 H 34-13 ラムサール条約に登録されている瓢湖の白鳥と鴨 I 34-16 12月12日(土)第64回新潟国体テニス成人男子で4位入賞した猿渡、長尾両選手 J 34-1712月5日(土)政経懇談会で興味深い講演をいただいた板倉徹先生 K 34-20 本年早々事故の多い宇須塩屋の交差点前に「スピードおとせ」の表示をしていただく L 34-21 2月3日(水)星林高校美術部員と堤先生が、秋葉山の梅園に植樹を行う M 34-22 2月4日(木)第27回和歌山バイオフォーラムの講演をいただいた東(手前)川ア両先生(中央)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
N 34-23 2月7日(日)UIゼンセン同盟第4回全国議員団会議にてNHK政治部安達副部長の講演 O 34-24 12月7日(日)第12回青墨会展にて諸先生方と記念写真 P 34-25 2回目の出展「奠供山からのぞむ片男波」小笠原先生ありがとうございました! Q 34-27 大学の大先輩氏家豊氏98歳の長寿を祝う会にて、ますますお元気! R  S  21. 
22. 23. 24.  25.  26.  27.  28. 
29.  30.  31.  32.  33.  34.  35. 
36.  37.  38.  39.  40. 41. 42.  
43. 44. 45.  46. 47. 48. 49
50. 51. 52. 53. 54. 55. 56.